「再来週、ちょっと旅に行ってきても
良いかな?台湾にあたりに。一人で。」
「再来週、ちょっと旅に行ってきても良いかな?台湾にあたりに。一人で。」
2023年の年末は世の中より少し早めの
仕事納め。どこでも良いからとにかく
海外に行きたくなり、半ば恐る恐る家族に
そう切り出した。
2023年の年末は世の中より少し早めの仕事納め。
どこでも良いからとにかく海外に行きたくなり、半ば恐る恐る家族にそう切り出した。
およそ10日後、最低限の荷物が
詰め込まれたリュックを背負い、カメラを
首からぶら下げ、出国ゲートを跨いでいた。
およそ10日後、最低限の荷物が詰め込まれたリュックを背負い
カメラを首からぶら下げ、出国ゲートを跨いでいた。
そんな気ままな一人写真旅の記録。
そんな気ままな一人写真旅の記録。

Why Taiwan?
海外ならどこでも、とはいうものの家族の事もあるので1週間も2週間もほっつき歩く訳にも行かず、且つ必要以上に心配も掛けたくない訳で。となると欧米圏は難しくてアジア圏内、中でも比較的治安の良いお隣台湾が必然的に候補になってくる。最も、台湾はこれまで訪れた事が無く、単純にその雰囲気や文化に触れてみたいというのが一番の理由だったりする。
Itinerary
今回の旅は2泊3日のショートトリップ。台湾各地を巡るには日数的に厳しく、加えて、訪れた街を気ままに散歩をしながらのんびりと写真を撮りたいな、という思いもあり台北市周辺の老街(ラオジエ)と夜市を中心に巡ることにした。尚、老街とは長い歴史を持つ古い街並みを指したり、栄えている通りの付近など示す言葉らしい。
To record trip memories
一人で気ままにのんびり、 ということで敢えてそこまで使い慣れていない Leica M Typ240 を妻から借りてレンズもElmar M50mmの1本だけ。今回はこれで十分。と言いたい所だけど、サブとして万能 GR3x もポケットに忍ばせておいた。料理も撮りたいからね。尚、両カメラともにバッテリーの持ちに不安があるので事前に予備を購入して持参。
Cities Visited

Day.1
三峡老街

新北市三峽區
三峡老街は清代から栄え日本統治時代に建てられたレンガ造りの洋館が今も残るレトロな雰囲気の街だ。この街は新北市南部の三峽區に位置しており、電車とバスで1時間程度とアクセスしやすい。今回の旅程を決める際に一番最初に訪れる事を決めた場所でもある。

Day.2
基隆・九份老街

基隆市・新北市瑞芳區
2日目は北部の港湾都市である基隆と、かの有名な九份老街へ。基隆は電車で1時間と手頃な距離感で、雨の日が多いらしく「雨の港」とも呼ばれている。九份老街は基隆市の東に位置する観光都市。せっかく台湾に行くのなら、ということで訪れるてみる事にした。

Day.3
淡水・台北市街

新北市淡水區・台北市
3日目は終日台北市を散策するか少し足を伸ばして淡水に行くか直前まで迷うことに。ちなみに新北市は台北市を囲む衛生都市。淡水はその一つで、台湾のベニスとも称される。せっかくなら色々訪れたいと淡水に行ってから中心部となる台北市街を散策することに。

旅に必要となる情報はNotionで管理。
覗き込んでいるのはGopher君。可愛いでしょ。
Ⅰ-1. 旅の始まり
行きのフライトはAM8時35分羽田発。前日にオンラインチェックインしているので「国際線は2時間前」の掟に逆らって7時過ぎに空港に到着し、 Face Express の登録を済ませスルスルと保安検査と出国ゲートを通過。

空港はいつもワクワクさせてくれる。海外渡航は8月のマニラ以来4ヶ月振りだ。
定刻通り羽田から飛び立ち3時間半、定刻通りに台北松山空港に着陸。松山空港は軍民共用のため周辺の上空からの写真撮影は禁止という機内アナウンスには驚いたのと少し残念だった。だってほら、写真撮りたいじゃない、空からの街並みって。
到着したらまずは現金の調達。絶対使いきれないだろうなと思いつつも2万円分を両替してからSuicaのような交通系ICカードに500元チャージで移動準備も完了。幾らくらいチャージして良いか分からず、えーっと、っと考えていると店員のおばちゃんから何日滞在するんだって聞かれ、「だったら300元にしときな」とレコメンドまでしてくれるこの親切さよ。ちなみに絶対使いきれないと思っていた2万円は後日あっさりとなくなってしまい、追加で両替することになる。尚、2023年12月時点で1元(ニュー台湾ドル)は4.6円程度だ。

幻想的な光が差し込む朝の東京湾。

ブレブレの台湾ファーストショット。
松山空港からはMRTという東京メトロ的な電車で台北駅まで移動、そこから台鉄というJR的位置づけの路線に乗り換え更に揺られること30分、鶯歌(インゴ―)という駅で下車。空港からは都合1時間くらいかな。私の初めての台湾はこの優美な名前の街から始まった。
鶯歌から最初の目的地である三峡老街へはバスが一番早いのだけどここは歩いて向かうと決めていた。一人気ままに、のんびりと。鶯歌は陶器が有名らしく、その街並みは日本的感覚でいうと昭和な雰囲気で、店先に大きな壺が並んでいる異国感もありつつ、でもどこか懐かしさのようなものもあり。その小さな街を15分も歩くと淡水河に差し掛かる。車とスクーターとバスだけがひっきりなしに走り抜けていく橋を一人徒歩で渡っていると、空からポツポツと雨が。今回の旅では天気に恵まれないことが分かっていたものの、ああ、最初からか、と思いつつ用意していたカッパを着込んだ。傘を差しながらライカを使うなんていう神業は持っていないからね。もっとも、雨なのにライカを使って良いんだっけ、なのかもしれないが。結局この日最後まで降ったり止んだりの繰り返し。

陶窯業が主な産業の鶯歌には陶器を扱うお店が立ち並ぶ。

大きな壺が無造作に陳列されているお店も。買っていく人はいるのだろうか。

鶯歌から少し歩くと淡水河に。
やはりどこか異国感を感じる。
鶯歌から少し歩くと淡水河に。やはりどこか異国感を感じる。
その後もGoogleMapで時折位置を確認しながらてくてくと歩みを進め、1時間ほどで三峡老街に到着。少々お腹も空いてきた所に排骨飯と書かれた看板が目に飛び込んできて、良いねえ、入ってみるか、と訪れたのが東道飲食亭というお店。
入るといきなり怖そうなおばちゃんが何か話してくるのだが、さっぱり分からず、英語もダメ。アウアウしていると奥から日本語の分かる店員さんが出てきてくれて「パイコーハンは台湾式のとんかつダヨ」と料理の説明とかしてくれた。それは流石に知っています、とは言えず、じゃあそれをお願いしますと、無事にご飯にありつくことが出来た。後で調べてみると結構有名なお店のようで、なるほど確かに美味かった。

初めての台湾料理は排骨飯と大根スープ。
お腹も膨れ、改めて辺りを散策。特に印象的だったのが三峡清水祖師廟という道教の寺院だ。ここは全く予備知識無しでふらりと入ってみたのだが瞬間で圧倒されてしまい、思わず「おおお、すげぇ」という感嘆の言葉が口を衝いて出ていた程。敷地や建物自体はさほど広くも大きくもないが、醸し出される雰囲気が尋常ではない。少し緊張しつつ、合掌してから中を見学する。平日なので参拝者はそれほど多くはないものの、それでも国内ツアーと思しき集団や若いカップルなどそれなりの人が入れ替わり参拝していた。
廟は2階建てとなっており、上も下も隈なくじっくりと巡る。こういう時に同行者に気遣う事なく自分のタイミングでゆっくり回れるのは一人旅ならではだなと。巡っていく内に、静かに招き入れられている気分になり、この場所を最初に訪れて良かったなと感じた。

荘厳な雰囲気を醸し出す三峡清水祖師廟。

施されている装飾がとにかく繊細で手が込んでいる。
廟全体で一つの美術館のようだった。

平日で参拝者はそれほど多くないものの、
お線香の数からも親しまれていることが伺える。

道教の参拝の所作はついつい見入ってしまう。

三峡老街のメインストリート。レンガ造りの建物とアーケードに様々なお店が並ぶ。
その後、日が沈み始める頃に三峡老街を後にして、やって来たルートをなぞって台北駅まで戻り、ひとまずホテルを目指す。帰路の老街から鶯歌駅までは流石に歩きではなくUberでタクシーを配車。程なくしてやってきたタクシーの女性ドライバーはずーっとLINE通話で誰かと大声で話していた。こっちのタクシーはこんなものなのかと思っていたが、後日乗った別のタクシーではそんなことはなかったので単におしゃべり好きな人だったみたい。
Ⅰ-2. 夜は士林夜市の低評価店で
台北駅の地下から外に出てみると、中華風なでかい駅舎が目の前に広がるものの、周辺には日本でも馴染みのあるお店や看板が目立ち、日本の大都市とさほど変わらない印象だ。ホテルはMRTで一駅隣の中山駅が最寄りとなるが、一駅程度なので歩いて向かうことに。写真を撮りながらゆっくり30分程掛けて歩く。大通りから1本外れた道を歩いていると、直ぐにごちゃごちゃした街並みに変わっていく様にらしさを感じつつ。

台北駅に戻ってきた。着いた頃にはすっかり日が沈んでいた。

ちょうどお仕事を終えて家路に着く方の多い時間。

公園には筋トレをしている人もいた。こっちでは普通なのかな。
今回の滞在はちょっと奮発してリージェント台北というリッチなホテルだ。世界各地で発生しているトコジラミを警戒している家族からの希望もあり、また万が一持ち帰って迷惑を掛ける訳にも行かないのでしっかりした宿を選んだ形となる。フロントには日本人スタッフもいたので日本語で楽ちんチェックインができた。聞けば実際日本人は多いそうだ。

ホテルの部屋は一人では十分すぎる広さ。とても快適で寝るためだけの滞在ではもったいない。
ホテルで少し休憩したら晩ご飯。初日はやっぱここでしょ、と台北最大の夜市と呼ばれている士林夜市(シーリンイエシー)へ向かう。MRTで3駅先の20分くらい。
ここの夜市は日本でいう縁日のような雰囲気で、射的やら金魚釣り、エビ釣り、子供向けパチンコのようなお店と、様々な飲食店が並ぶ。平日なのでそれほど混んではいなかったが、それでも飲食店が並ぶ通りは海外からの観光客や地元の家族連れなどで結構賑わっており活気があった。こんな感じなのかと、興味津々で辺りを歩いているとお店の人から日本語で声を掛けられている事も多く、服装やら髪型やら雰囲気やらでどこの国から来たのか大体わかるのだそうだ。

平日だからかそこまで混んでもおらず比較的のんびりと見て回る事ができた。
さてご飯はどこで食べようかなと考えていると、ちょうど外国人観光客が4名くらいでお店に入る姿が見えたので、何となくそのお店に続けて入ってみる。前の4名で店内は満席になってしまい、一人ぽつんと立っていると、店員さんはここで良いか?と調理場兼レジカウンターにスツールをおいて案内してくれた。良い写真が撮れそうだと内心ほくそ笑んで、全然OKよ、とそこで何枚か写真を撮りチャーハンを頂いた。尚、後日改めてGoogleで調べると正品味小吃というお店で評価はめちゃ低くて1.9だった笑。大体店員の態度が悪いというレビューなんだけど、普通に良いおっちゃんで味も美味しかったですよ。

ふらっと入ったお店でエビチャーハンを食べる。

案内してくれたおっちゃん。良い人でしたけどね。
22時くらいに夜市を後にしてホテルに帰還。翌日に備え風呂入って歯を磨いて即就寝し、台北1日目を終えた。































Ⅱ-1. 朝の迪化街と雨都・基隆
歳のせいなのか朝早くに起きてしまうのは旅先であっても同じだ。旅の二日目となるこの日も朝6時前には目が覚め、巨大なキングサイズベッドの中で暫しうだうだ。7時頃になり、じゃあ行くかと散歩と朝食を兼ねてホテルを出て、向かうは迪化街。歩いて20分程度の所にあるその街は「漢方薬、からすみなどの乾物、布の問屋街としては台湾一の規模」なのだそうだ。ただ、目的はそのどれでもなくて、お粥だ。

朝のホテルから。空は曇天。ホテルのレビューで部屋からの眺めが良くないとあったが私は好きだなぁ。
冬の寒空の下をとぼとぼ歩きお目当ての清粥小菜 永樂市場店に到着すると、お客さんはまばら。ここでも直ぐに日本人であることを見破られ、日本語で何にするか聞かれる。このお店はお粥がメインでお供のおかずを選ぶスタイルで、私はしらすと豚肉の煮込んだやつをチョイス。続いて店内と店外どちらで食べるか聞かれ、寒かったけどここはやっぱりおしゃれにテラス席でしょ、ということで路上の丸テーブルに料理を置きスツールに腰を掛けて頂くことにした。お粥に味はついてないので、豚肉としらすをぶっかけて食べたが、普段朝食を取らない私でもさらっといけて、これがまあ美味かった。
食後に店の周りで写真を撮っているとおばちゃんに呼び止められ、「ほれ、こっちからの方がいい写真撮れるから来な」(脳内意訳)と、カウンターの中に招き入れてくれて、さらに調子に乗っておばちゃんの写真もリクエストすると、少し恥ずかしそうにしながらピースサインで答えてくれた。

迪化街の入り口。てきかがい、と読む。

清粥小菜の気さくなおばちゃん。

お粥のお供のおかずはここから選ぶ。

食前の写真はあまりにも酷い写りだったのでNG笑。せめて食後だけでも。
空港のセブンイレブンのおばちゃんや三峡の排骨飯の店員さん、士林夜市のチャーハンのおっちゃんといい、基本的にこちらが困った感じでアウアウしていると皆さん何とかしようと助けてくれるのが暖かいなと。もちろんお客だからという側面もあるのだが、今回の旅では現地の人とのコミュニケーションを取りたいなとも思っていたので嬉しい楽しい限り。撮影NGの標識を見落としてうっかり工事現場の写真を撮っていたら警備の人にめっちゃ怒られたりもしたけど笑(これは私が一方的に悪い)。
食後は一旦ホテルに戻り、お出かけの準備をし直してこの日の最初の目的地である基隆(キールン)に向かうべく台北駅へ。基隆は台北の北東あたりに位置する港町で、台鉄で45分程だ。終着駅が基隆駅なので分かりやすくて行きやすい。

初日の鶯歌に向かう際はどの電車で行けるのか駅員さんに確認したが、この日は不要。だって基隆行きだもの。
基隆は高尾に次ぐ台湾第二の港で、また「世界有数の多雨地となっており、雨港・雨都の異称がある」のだそう。雨都って表現がどこか素敵で訪れてみたかったのと、そもそも note のこちらの記事を読んで行ってみたいなと思っていた場所でもある。
各駅停車のボックスシートの窓際席から車窓の風景の写真を撮りながら揺られていると、どこかの駅でご家族連れが乗車してきた。小学生くらいの男の子が私の隣の通路側に座り、同じく携帯で風景の写真を撮っていたので、あと一駅分だけ窓際で写真を撮り、どうぞと窓際を譲った。男の子は無言だった。そんな小さな事がありつつ基隆に到着。

台鉄の區間車(各駅停車)でのんびりと。

雨都・基隆は雨。雨都だからね。
やはり雨都と呼ばれるだけのことはあり、台北は曇りだったが基隆はしっかりと降っているので初日に続きここでもカッパを着て街を散策。街の中心部は港湾やバス乗り場、商業施設が多く賑わっているものの、少し路地に入ると寂れて雑多な感じだ。雨天も相まってとても良い雰囲気、だが、寒い。寒すぎる。「台湾だし言うてもそんな寒くないでしょ、寒かったら現地調達すれば良いしね。」と高を括って軽装で来たことを心底後悔した。調べてみると、幸いにしてユニクロが近くにあったので厚手の靴下やら防寒着を調達。っぱ世界のユニクロでしょ。ちなみに数時間後に別のユニクロで再度調達することになるとはこの時は知る由もなかった。
防寒着を着込んで若干マシにはなったものの、今度は次第に雨脚と風も強くなり。借り物の大切なライカを雨に濡れさせて壊すわけにいかんと、カッパの前を開けてカメラを取り出してさっと写真を撮り、濡れればさっと吹いてまたすぐ懐にしまう、というめんどくさい所作を繰り返しながら街をぶらぶらしていると、直ぐに良い時間になってしまいご飯を取ることに。

趣のある細い路地が沢山。
ここ基隆にも「基隆廟口夜市」という夜市があり、ずらっと飲食店が立ち並ぶ。夜市というもののお昼も普通に営業しているのでランチはここで。ただ、行きたかったお店は残念ながら定休日だったので、何となく混んでいて美味しそうだった天一香肉羹順というお店に入ってみる。厨房前のカウンターに座らされ、メニューの漢字が全く分からずアウアウしていると眼の前のおっちゃんが「魯肉飯でいいんだよな?な?」(脳内意訳)と聞かれ、直ぐに魯肉飯が出てきた。それから眼の前には見た目からしておどろおどろしい色のスープの寸胴があり、おっちゃんがひっきりなしにそのスープを注いでいたので名物なのかと思い、それも頂戴とお願いしてランチセットが完成。このスープは豚肉が沢山入っていてめちゃくちゃ美味しく、冷えた体に心底染みた。この旅で一番だったかも。

基隆廟口夜市は地元の方で混雑していた。

魯肉飯と豚肉のスープ。スープがめちゃ美味かった。
そんなこんなで基隆を後にして次なる目的地の九份老街へ向かう。
Ⅱ-2. 酷寒の九份老街
基隆から九份老街へ行くには電車と直行のバスがあり、電車をチョイス。台鉄の基隆駅から少し戻り、八堵(バードゥー)という駅で台鉄の別の路線に乗り換えて、瑞芳(ルイファン)が九份老街の最寄り駅となる。そこからはバスで10分ほどだ。所要時間としては電車も直行バス両方同じくらいで大体1時間くらい。

乗り換え駅の八堵。雨は一向に止む気配は無い。
瑞芳到着後、少し離れた場所にあるバスの停留所で待つもなかなか来ず、バスの時間はなかなかに怪しいので、Uberタクシーでちゃちゃっと行くことにした。同じく九份老街行きのバスを待っていると思しき若い韓国人のカップルがいて、男性がニコン(だったかな)の一眼カメラを首に掛けていて妙に親近感が湧き、一緒にタクシーに乗っていかないかお誘いしてみた。
I called uber, would you like to ride with me? I'll pay for it, so you don't have to.
-今Uber呼んだんだけど、よかったら一緒乗っていかない?お金いらなからさ。-
言いたかったのはこれなんだけど、実際はこの100倍辿々しい英語で「こいつ何いってんだ?」って感じに一瞬なったけど、何とか意志疎通は出来て一緒に行くことに。まあUberと同時にバスも来たんだけどね笑。そんなこんなで無事九份老街に到着し、カップルからは「ありがとう、お茶でも行かない?」って誘われたんだけど、英語の会話が出来る気がしなかったので丁重にお断りさせて頂いた。今にして思うと翻訳ツールとか使って頑張って話せば良かったな。尚、翌日全く別の場所で奇跡の再開を果たすことになる。旅って良いよね。

めちゃくちゃ雑な言い方をすると、江の島と箱根と熱海を一緒くたにしてギュッと圧縮して中華風にした印象。

九份老街に到着。思ったより山の上だった。

急な坂道に傘の花が咲く。

雨でも良かったと思える独特の雰囲気。

悪天候にも関わらずかなりの賑わい。
九份老街は流石に台湾随一の観光名所と言われるだけあって、その賑わいは天候には左右されないようだった。急勾配の土地に無理やり作られたであろう飲食店やお土産屋さんが所狭しと立ち並ぶ。訪れる前は「どうせ観光名所で同じような写真を撮らされるだけでしょ」とネガティブな面も無いことはなかったが、なかなかどうして素敵な所で、訪れて良かった。が、寒い。寒すぎる。山の上ということもあり体感温度も一層低く感じられ、基隆でもっとしっかり防寒対策をすれば良かったと心底後悔した。これは耐えられんと、逃げ込むようにおしゃれなカフェに退避。

Babka欧風郷村咖啡というお店。素敵なご夫婦が営んでいる(と思われる)。
美味しい珈琲をゆっくりと飲みながら体を温め、1時間程滞在。この後は「九分老街といえば夜」なので(なのか?)、せめて提灯に明かりが灯るまでは居ようかなと迷うも、夜はもっと寒くなるであろうと思われ、雨もさらに強くなってきて、周りはカップルと家族連ればかりで少し寂しくもなり笑、結局台北に戻ることにした。最寄り駅までは行きと同じようにUberでタクシーを呼んで移動。寒すぎて乗車時にカッパを脱ぐ気力も無く、車のシートをビシャビシャにしてしまったのでごめんなさいの100元をチップとして渡して瑞芳駅に戻る。

帰りの瑞芳駅。九份老街からの戻りの方が多くいた。
瑞芳から台北へ向かう次の電車が40分後だと分かった時は軽く絶望した笑。駅舎には暖房が無くこの間に温まった体が再度冷えきってしまい震えて電車を待ち、30分ほど電車に揺られ何とか台北に戻った。その足でそのままユニクロに向かい、お金に糸目はつけずにさらなる防寒対策をしたのである。っぱ世界のユニクロでしょ。
Ⅱ-3. 夜は寧夏夜市の高評価店で
夜ご飯の前に一旦ホテルに帰還。4時間ほど前から夢にまでみていた熱い浴槽に浸かり肉体的にも精神的にも生還を果たすことができ、その後少し休んでから買い揃えた防寒具を着込んだ最強装備で寧夏夜市(ニンシャーイエシー)に挑む。ちなみにこの時点で2万円分の元(ニュー台湾ドル)は残り300元になっていた。防寒具にお金を使いすぎてしまい、服装は暖かいが懐具合が寒くなってしまった。
寧夏夜市にはホテルから徒歩で20分くらい。しかしこのホテルはどこに行くにもアクセスが良い。ここの夜市は道の真ん中に屋台が、脇の建物にも店舗型の飲食店がそれぞれ立ち並び、どこを見ても食べ物だらけ。何を食べようかとふらふら物色するが、そもそも夜市に関しては初日の士林夜市も含めて「どこかのお店でなんか食べる」くらいで考えており全然下調べせずにいたのだが、日本からの情報提供部隊(妻のこと)から人気店をリアルタイムで教えてもらうことが出来た。後方支援を受けて並んだのが牡蠣オムレツが有名な円環辺蚵仔煎というお店だ。

寧夏夜市に到着。何となくだが若者が多いイメージ。

食前の写真は食べ物かどうかすら認識出来ないくらい酷いものだったのでNG。

代わりに牡蠣オムレツを作っている所。
待つこと10分くらいで割りとあっさりと入店でき、現金が300元しかないのであまり頼めずに名物の牡蠣オムレツと蛤のスープを注文。スープは美味かったけど、牡蠣オムレツは片栗片栗していて私の口にはそうでもって感じ。美味いっちゃ美味いんだけどね。
店内はもちろん相席で、たまたま私の後ろに並んでいた若い日本人のご夫婦が対面の席に案内されてきたので少しお話しながらご飯を頂く。聞けばこの当日に来たそうで同じく2泊の予定なのだそう。お互いどこに行ったとか何を食べたとか、そういう話をしつつご夫婦は先に店を出て他のお店を巡りに行かれた。旅って良いよね。
私の方はというと、お金が底を突きかけているのでご飯はそこそこにして辺りをぶらぶらとしながら写真を撮り、程なくしてホテルに戻ることに。ついでにフロントで追加で1万円分を両替しておいた。なぜ夜市に行く前に両替しなかったんだろう。

ホテルまでの帰路にあったおしゃれなブックカフェ。おしゃれなお店は他にも沢山あった。
こうして二日目は幕を閉じた。




























Ⅲ-1. 癒やしの淡水
あっという間の最終日で少し疲れもあったけど昨日と同じく6時前に目が覚める。取り敢えず朝ごはんを食べに、これまた歩いて20分程度の所にある圓山老崔蒸包までお散歩。店内は真っ暗だが人はいて、この時間はテイクアウトのみなのだそう。肉まんと蒸しパンの中間みたいな小さめの蒸包なるものが10個で1パック。1つ買って隣の公園のベンチで頂いた。その隣では上下スウェットのお兄ちゃんが爆睡していた。朝だし眠いよね。お腹一杯でホテルに戻り、お片付けしてチェックアウト。

最終日は曇天。台湾の街並み好きだなぁ。

圓山老崔蒸包ではせっせと仕込みが行われていた。

これが蒸包。ソースが独特の風味で蒸包自体も美味い。が、朝から10個は私には少々多め。
この日は終日のんびりと台北市内を周るか、少し離れた淡水という海辺の街に行ってみるか最後まで迷ったが、次はいつ来れるか分からないし色々行ってみようと、淡水に行ってみることに。台北の北西に位置しており、MRTで40分ほどだ。
淡水駅に降り立ち、まずは海辺の方に向かってみる。駅からすぐの所に淡水金色水岸という海岸沿いの遊歩道のような所を散策。人はまばらでこれまでは比較的、というかほとんどが(良い意味で)ごちゃごちゃとした街並みが多かったので、こういう場所もあるのかと癒やされつつのんびりと歩く。

淡水金色水岸という海浜公園のような所。夕日が綺麗らしい。

淡水河という大きな河の河口付近になる。対岸の街並みも美しい。

街の方には市場が。
海辺の歩道をひとしきり端まで歩き、今度は街の方に足を運んでみると地元の市場のような通りに差し掛かり、更に奥に進むとアーケードに覆われた薄暗くて人一人二人がすれ違うとぶつかるくらいの細い路地が。調べてみると清水街という通りらしく、先の方を見渡すとアメ横も真っ青になるくらいの人の多さと店の多さとごちゃつき具合。好奇心にかられて入ってみると肉・魚・野菜などの生鮮や、飲食店、衣料品、雑貨などのお店が密集しており、平日にも関わらず大変な人混みで活気に溢れていた。さっきまでののんびりした感じから一転して混沌とした雰囲気に様変わりして何とも面白みを感じる街だった。やっぱり訪れて良かったなと思いつつ淡水を後にして台北に戻る。

更に進むと細く薄暗い路地にお店が立ち並ぶ。清水街という市場らしい。
Ⅲ-2. 旅の終わり
淡水から台北に戻り、時間は正午過ぎ。羽田へのフライトは行きと同じく台北松山空港からで、18時25分発。なので16時半くらいには空港に着いていたいよね、となると実質残り4時間くらい。最後はこの2箇所は必ず訪れようと思っていた場所に行って今回の一人旅を終えることにする。
1つめは龍山寺。正式には艋舺龍山寺(ばんかりゅうざんじ)というお寺。MRTの駅名になるほど有名なお寺で観光客も多い。初日に訪れた三峡清水祖師廟も大変立派で荘厳だったが、流石にこちらも同じくらい立派であった。

地元の方や観光客が多く賑わっていた。台湾の「四大外国人観光地」なのでね。
境内(っていうのかな)で参拝を済ませてからひとしきり見学し終えてお寺を後にしようとする時に、誰かが呼び止めているような気が。辺りを見回すと、二日目の九份老街のUberタクシーで同乗してくれた韓国人カップルの男性がおり、偶然の再開にお互い喜んで写真を1枚撮らせてもらった。でも一緒にいた女性はこの日はおらず「一人なの?」って聞いたら「そうだよ」って。少し気になったけどまあ良いか笑。旅って良いよね。

石柱には美しい装飾が。

九份友達の韓国人男性。最後にお名前くらい聞いておけば良かった。
ほんとの締めくくりは中正紀念堂で。ここは「初代総統である蔣介石の顕彰施設である。」だそうで龍山寺からMRTを乗り継いで20-30分程。駅のほど近くにあり、その姿が見えてきた時は想像以上にデカくて驚いた。中央の広場も広大で脇の緑地もキレイに整備され、また訪れた際は中正紀念堂への階段中央の装飾も清掃中であり、国として如何にここが大切で象徴的な場所であるかを垣間見ることができた。

想像以上にデカくて驚いた。台湾の「四大外国人観光地」なのでね。
中正紀念堂では日中1時間毎に衛兵さんの交代式が行われており、ちょうど見学することが出来たが、流石に見物客が多く間近で見れなかったのは少々心残りでもある。見学後、暫しその余韻に浸りつつでタイムリミットの16時を迎えた。その後空港へ向かい、無事この一人旅を終える事となった。

施設はしっかりと維持管理され綺麗に整備されている。

中正紀念堂の本堂?もまたでかい。

衛兵の交代式は見物客が沢山。
























68,689歩。この3日間で歩いた歩数だ。1,000歩の歩行距離は600~700mに相当するとされており、650mだとしても44km程の距離を歩いた計算だ。たかだか3日間かもしれないが、見知らぬ海外の土地を一人、歩く。歩き、人に出会う。出会い、意思疎通する。意思疎通をし、文化を知る。単純だが、その事の素晴らしさを改めて感じることが出来た良い旅であったと思う。のんびり気ままに、の割には些か詰め込み過ぎたきらいはあるが。振り返ると、一人旅は2019年の北海道以来だ。当時と異なり今回は海外、加えてその動機も観光だけではなく、その土地の風景や人々の生活を見て・感じて、写真を撮りたい・残したいという思いが強い。写真を始めていなければ恐らくこの旅は実現しなかったと思われる。この年になると、仕事以外で一人で海外に行く事に対して色々と制約が多かったりするが、快く送り出してくれた家族に感謝。ここ台湾には次回は是非家族で訪れたいものだ。一方、次の一人旅はどこへ行こうか。旅って良いよね。

2023.12.20 (Wed) - 2023.12.22 (Fri)
写真はほぼすべて Leica M Typ240 + Leica Elmar M50mm F2.8にて撮影

Why Taiwan?
海外ならどこでも、とはいうものの家族の事もあるので1週間も2週間もほっつき歩く訳にも行かず、且つ必要以上に心配も掛けたくない訳で。となると欧米圏は難しくてアジア圏内、中でも比較的治安の良いお隣台湾が必然的に候補になってくる。最も、台湾はこれまで訪れた事が無く、単純にその雰囲気や文化に触れてみたいというのが一番の理由だったりする。
Itinerary
今回の旅は2泊3日のショートトリップ。台湾各地を巡るには日数的に厳しく、加えて、訪れた街を気ままに散歩をしながらのんびりと写真を撮りたいな、という思いもあり台北市周辺の老街(ラオジエ)と夜市を中心に巡ることにした。尚、老街とは長い歴史を持つ古い街並みを指したり、栄えている通りの付近など示す言葉らしい。
To record trip memories
一人で気ままにのんびり、 ということで敢えてそこまで使い慣れていない Leica M Typ240 を妻から借りてレンズもElmar M50mmの1本だけ。今回はこれで十分。と言いたい所だけど、サブとして万能 GR3x もポケットに忍ばせておいた。料理も撮りたいからね。尚、両カメラともにバッテリーの持ちに不安があるので事前に予備を購入して持参。
Cities Visited

Day.1
三峡老街

新北市三峽區
三峡老街は清代から栄え日本統治時代に建てられたレンガ造りの洋館が今も残るレトロな雰囲気の街だ。この街は新北市南部の三峽區に位置しており、電車とバスで1時間程度とアクセスしやすい。今回の旅程を決める際に一番最初に訪れる事を決めた場所でもある。

Day.2
基隆・九份老街

基隆市・新北市瑞芳區
2日目は北部の港湾都市である基隆と、かの有名な九份老街へ。基隆は電車で1時間と手頃な距離感で、雨の日が多いらしく「雨の港」とも呼ばれている。九份老街は基隆市の東に位置する観光都市。せっかく台湾に行くのなら、ということで訪れるてみる事にした。

Day.3
淡水・台北市街

新北市淡水區・台北市
3日目は終日台北市を散策するか少し足を伸ばして淡水に行くか直前まで迷うことに。ちなみに新北市は台北市を囲む衛生都市。淡水はその一つで、台湾のベニスとも称される。せっかくなら色々訪れたいと淡水に行ってから中心部となる台北市街を散策することに。