2023年の夏は故郷の北海道へ。
過去の記憶に触れながら縁のある土地を巡り、また新たな発見をする。
そんな2泊3日のショートでスロウな500kmのロードトリップを楽しんできた。
この旅の記録も兼ねて我々が訪れた9つの施設についてご紹介。
2023年の夏は故郷の北海道へ。
過去の記憶に触れながら縁のある土地を巡り、
また新たな発見をする。
そんな2泊3日のショートでスロウな500kmの
ロードトリップを楽しんできた。
この旅の記録も兼ねて我々が訪れた
9つの施設についてご紹介。
六花の森
北海道河西郡中札内村
8月の北海道は雨が多い。7月はカラッと晴れた日が続くが8月になると途端に雨が続く、そんな印象を持ち始めたのは夏休みを利用して道内十勝地方で住み込みのアルバイトをしていた大学生の頃からだろうか。そこで働く人々は全国各地から集まり様々なバックボーンを持っていた。当時高校を卒業したばかりの私にとっては彼らの話や経験を聞き、また一緒に働く事が十分に刺激的で楽しく、その後の物事に対する考え方や人生観にも大きな影響を及ぼしているのは間違いないと言えるだろう。今回の旅はそんな過去の記憶をなぞる旅でもある。
さて、今回の旅も雨と共に始まった。お盆も過ぎてやや閑散とした帯広空港で予約していた車を借り、まず初めに訪れたのはほど近くにある六花の森。ここは数多くの銘菓で知られる六花亭により運営される施設となり、手入れの行き届いた森の中に六花亭にちなんだ絵画などが展示される小屋が点在している美しい場所だ。その中でも六花亭の代名詞といえる花柄包装紙、これは坂本直行氏という画家によって描かれたものだが、氏の作品の多くを鑑賞する事が出来る。私は坂本氏の作品が大変好みで、特に北海道の景色を描いた作品は見るたびに少年期の原風景を思い起こさせる。
冬季は降雪のため閉園となり年の半分程度しか訪れることが出来ないが、その分、春から秋にかけてその季節に応じた様々な植物をここでは見ることが出来る。雨にも関わらず園内には多くの管理スタッフがいらして整備をされておりその点からして思いの強さを感じ取れた。また、この施設のもう1つの大きな魅力は "六'cafe" という六花亭が運営するカフェだ。森を散策して休憩するのにちょうど良くここで食事を取ることも出来る。豆とトマトのスープを頂いたが少し濃い目に味付けされたスープにパンを浸して食べるのが絶品であった。
ナイタイ高原牧場
北海道河東郡上士幌町
中札内から帯広市を南北に縦断し、さらに音更、士幌の「これぞ十勝!」という感じの気持ちの良い牧草地帯を横目に1.5時間ほど車を走らせるとナイタイ高原牧場の麓にたどり着く。この牧場は上士幌町のJAによって維持管理されている牧場で約2000頭の牛が放牧されているそうで、実際にそこかしこで牛の群れを目にすることが出来る。
この頃には雨はすっかり上がり空には晴れ間が見えるものの、高原へと続く登り坂を登っていくと次第にあたりが白くなり雲の中へ入っていくのが分かる。目的地のナイタイテラスというカフェと展望台は標高800m付近に位置するため、到着する頃には視界が100mも無いというホワイトアウトの世界となった。晴れていれば十勝平野を見下ろす美しい景色が広がっていたであろう。家族旅行と思しき子供たちは「おーい、太陽出てこーい」と微笑ましい無理難題を大絶叫していが、これはこれで幻想的で美しい景色であった。すべてを包み隠す雲に紛れてしばし辺りを歩き写真を撮る。余談だが、ここを訪れるのは今回が2回目となり、写真を始めるきっかけとなった一人旅で訪れたのが1回目だ。今回は家族での来訪となり手にしているカメラもiPhoneからミラーレス一眼に変わったものの見える景色は何も変わらない。
十勝千年の森
北海道清水町
緑の旅は続く。目指す次なる森は十勝千年の森。上士幌から一路南下し1.5時間程度だ。「1000年後の未来へ、永続的に森づくりを続けるため」をコンセプトに十勝毎日新聞社の顧問である林光繁氏によって創設され、特に施設内の「アースガーデン」と「メドウガーデン」は英国のガーデンデザイナーズ協会賞で "世界で最も美しい庭" という評と共に最高の賞を授与されている。
我々は15時ごろに到着しクローズまであまり時間も無かったためじっくりと周ることはしなかったが、それでも是非見たいと思っていたアースガーデンとメドウガーデンの美しさは十分に堪能することができた。また、先に訪れた六花の森は「花柄包装紙に描かれた草花でいっぱいの森をつくりたい」というコンセプトとなり比較的落ち着いた印象だが、こちらはセグウェイツアーや乗馬などのアクティビティもあり、それらに参加する事でより自然に近い本来の森の姿をより濃く感じ取ることが出来るだろう。
星野リゾート トマム
北海道勇払郡占冠村
夏のトマムといえば雲海。そんなイメージが定着したのはいつ頃だろうか。1泊目の宿をトマムとしたのは40%程度の確率で発生するという雲海を見るためだ。早朝5時、雲海発生中のアナウンスを受けて野生の鹿の群れのお出迎えを受けつつ山頂へ向かうゴンドラ乗り場へ足を運ぶ。ゴンドラに乗るまで1時間程度の順番待ちがあり、その間に雲海が消えたりしないか少しソワソワしつつ、いざ到着してみるとそこには朝日に照らされた幻想的な雲海が眼下に広がっていた。ここで発生する雲海は天候により幾つかに分類され、この日は幸運にも最も雄大な「太平洋産雲海」を眺める事ができた。この雲海は太平洋の海上で発生した海霧が東方面の風に乗り、十勝平野を抜け日高山脈を超え100km以上も旅をしてやってくるのだそうだ。
実は学生時代に住み込みのアルバイトをしていたのがここトマムで、大学1年生から4年生まで夏・冬・春の長期休暇に入ると直ぐにここに来て働き、青春時代の多くの時間を過ごした場所でもある。シーズン毎に仕事内容はそれぞれ異なり、ある時はフレンチレストランでウェイターをしたり、またある時はプールサイドでソフトクリームを巻いたり猛暑の中で刈払い機で1日中草刈りしたり、果てはマイナス20度の深夜にアイスドームという巨大な氷のドームの設営をしたり。大学の卒業・就職と共にこの地とは疎遠になってしまったが、写真を始めたことも起因して近年になってしばしば訪れるようになった。余談だが、匂いの記憶というのは時間を経ても強く残っているようでホテルなどの施設に足を踏み入れるとその匂いとともに当時の記憶が鮮明に蘇ってくるのだから不思議なものだ。
幾度か経営難に陥り危機的な状況もあったであろうが、経営母体が星野リゾートに変わることでホテルやゴルフ場など施設の断捨離、雲海などの新たな魅力づけが功を奏し今現在でもこうして多くの観光客で賑わっている姿は、たかだか元アルバイトの自分であっても嬉しく思うし、1ファンとして今後何度も訪れたい場所である。
かなやま湖森林公園
北海道南富良野町
トマムから次の目的地である美瑛に向かう道すがら、ふと思い立ち最短ルートである国道38号線から横道に逸れて、かなやま湖森林公園に立ち寄り30分ほど散歩時間を設けた。全国的に見ると北海道の湖としてはさほど有名ではないかもしれないが、非常に綺麗に整備された公園で夏はキャンプ、冬は凍結した湖でワカサギ釣り等が楽しめる。ちなみにここは近隣の南富良野高校カヌー部の練習場でもあるが、こんなに素晴らしいロケーションで毎日練習出来るのはさぞ楽しいだろうなと。勿論、やっている当の本人達はキツイのだろうが。
フェルム ラ・テール美瑛
北海道上川郡美瑛町
美瑛の小高い丘の上に立つおしゃれなレストラン兼パン屋さん、フェルム ラ・テールでは4頭のヤギのファミリーがお出迎えしてくれた。The・美瑛とも言うべきフォトジェニックなロケーションもさることながら、ここのレストランの料理は本当に美味かった。ランチはお肉をメインにしたプレートでの提供となるが、付け合せ、というのが失礼な位に野菜が美味しい。今回の旅で一番美味しい食事はどこかと言われたらここだと我が家全員の意見が一致した。週末のランチは予約が必須というのも納得だ。
我々が訪れた際には生後1ヶ月程度のララ、テテと名付けられた双子の子ヤギがいて、お母さんヤギに甘えている姿は見ていてとても癒やされた。いや、癒やされないはずがない。お母さんヤギはどっかに行ってしまわないように長めのリードで繋がれているが、子ヤギはお母さんから離れないのでリードは不要なんだそう。可愛い過ぎる。ちなみにその名が「ラテ」に由来している事を娘は直ぐに気がついたようだが、私は言われるまで全く気が付かなかった。料理を待つ間に店員さんとそんな会話をしつつ「食事の後にララとテテを是非撫でてあげてください」と嬉しそうに話して下さったのがとても印象的であった。
みんなの工場 by SHIRO
北海道砂川市
「もし時間があれば立ち寄りたい所がある」と事前に妻からリクエストされていた施設だ。美瑛から車で1.5時間くらいの砂川市にあるSHIROという主にフレグランスアイテムの製造・販売を行っている企業の生産拠点で、2023年7月に本格稼働したばかりだそうだ。ここで生産された製品が全国の各店舗に出荷されていく。ガラス1枚隔てただけで実際に製造しているところが見られるというオープンな工場見学や、加えてブレンダーラボと呼ばれる自分のオリジナルの香りを実際の工場と同じ製法で作るというものづくり体験も楽しめる。
開設されたばかりという事もあるかもしれないが、平日夕方にも関わらず施設内は若い人達で大変賑わっており、妻と娘もそれぞれブレンダーラボでマイフレグランス作りに勤しんでいた。カフェやキッズスペースなどもあるので家族分かれて過ごすことも出来、実際私はその間施設内外の付近を散策して写真を撮ったり受付の方にこの工場についてのお話を伺ったりしていた。私達が道外からの北海道旅行で立ち寄った事を伝えると「わざわざこんな所まで」というニュアンスで驚いていらしたが、いえいえどうしてここは立ち寄る魅力のある新しいカタチの工場だなと。
北海道大学
北海道札幌市
2日目の宿を札幌で取り、あっという間に最終日。緑の旅として外せないであろう北大へ。ただ、幸か不幸かこの日の札幌の最高気温は32度と東京並み。札幌市民の憩いの場としても親しまれているが流石に暑いので人はまばらでより一層のんびりした場所になっていた。実はここは地元中の地元で子供の頃から親しみのある場所であるものの、逆に当たり前過ぎでわざわざ散歩するような場所ではなかったが、こうして改めて訪れるととても良い場所だなと再認識することが出来た。
北菓楼 札幌本館
北海道札幌市
大正時代に行啓記念北海道庁立図書館として建築され、その後美術館を経て現在では北菓楼札幌本館として運営されている。北菓楼への改築にあたり安藤忠雄氏により設計され、大きな本棚と白いアーチ型の天井が特に特徴的で目を引いた。また改築前は三岸好太郎美術館の別館として運用されていたのだが、この三岸好太郎氏の旧アトリエが東京中野にあり以前見学したことがあり、思わぬ所での接点に勝手に親近感を感じた。ここでは旅の締めくくりとして併設されているカフェでいちごパフェを頂いた。
六花の森
北海道河西郡中札内村
8月の北海道は雨が多い。7月はカラッと晴れた日が続くが8月になると途端に雨が続く、そんな印象を持ち始めたのは夏休みを利用して道内十勝地方で住み込みのアルバイトをしていた大学生の頃からだろうか。そこで働く人々は全国各地から集まり様々なバックボーンを持っていた。当時高校を卒業したばかりの私にとっては彼らの話や経験を聞き、また一緒に働く事が十分に刺激的で楽しく、その後の物事に対する考え方や人生観にも大きな影響を及ぼしているのは間違いないと言えるだろう。今回の旅はそんな過去の記憶をなぞる旅でもある。
さて、今回の旅も雨と共に始まった。お盆も過ぎてやや閑散とした帯広空港で予約していた車を借り、まず初めに訪れたのはほど近くにある六花の森。ここは数多くの銘菓で知られる六花亭により運営される施設となり、手入れの行き届いた森の中に六花亭にちなんだ絵画などが展示される小屋が点在している美しい場所だ。その中でも六花亭の代名詞といえる花柄包装紙、これは坂本直行氏という画家によって描かれたものだが、氏の作品の多くを鑑賞する事が出来る。私は坂本氏の作品が大変好みで、特に北海道の景色を描いた作品は見るたびに少年期の原風景を思い起こさせる。
冬季は降雪のため閉園となり年の半分程度しか訪れることが出来ないが、その分、春から秋にかけてその季節に応じた様々な植物をここでは見ることが出来る。雨にも関わらず園内には多くの管理スタッフがいらして整備をされておりその点からして思いの強さを感じ取れた。また、この施設のもう1つの大きな魅力は "六'cafe" という六花亭が運営するカフェだ。森を散策して休憩するのにちょうど良くここで食事を取ることも出来る。豆とトマトのスープを頂いたが少し濃い目に味付けされたスープにパンを浸して食べるのが絶品であった。
Address
北海道河西郡中札内村常盤西3線 249-6
Location
ナイタイ高原牧場
北海道河東郡上士幌町
中札内から帯広市を南北に縦断し、さらに音更、士幌の「これぞ十勝!」という感じの気持ちの良い牧草地帯を横目に1.5時間ほど車を走らせるとナイタイ高原牧場の麓にたどり着く。この牧場は上士幌町のJAによって維持管理されている牧場で約2000頭の牛が放牧されているそうで、実際にそこかしこで牛の群れを目にすることが出来る。
この頃には雨はすっかり上がり空には晴れ間が見えるものの、高原へと続く登り坂を登っていくと次第にあたりが白くなり雲の中へ入っていくのが分かる。目的地のナイタイテラスというカフェと展望台は標高800m付近に位置するため、到着する頃には視界が100mも無いというホワイトアウトの世界となった。晴れていれば十勝平野を見下ろす美しい景色が広がっていたであろう。家族旅行と思しき子供たちは「おーい、太陽出てこーい」と微笑ましい無理難題を大絶叫していが、これはこれで幻想的で美しい景色であった。すべてを包み隠す雲に紛れてしばし辺りを歩き写真を撮る。余談だが、ここを訪れるのは今回が2回目となり、写真を始めるきっかけとなった一人旅で訪れたのが1回目だ。今回は家族での来訪となり手にしているカメラもiPhoneからミラーレス一眼に変わったものの見える景色は何も変わらない。
Address
北海道河東郡上士幌町上音更128-5
Location
十勝千年の森
北海道清水町
緑の旅は続く。目指す次なる森は十勝千年の森。上士幌から一路南下し1.5時間程度だ。「1000年後の未来へ、永続的に森づくりを続けるため」をコンセプトに十勝毎日新聞社の顧問である林光繁氏によって創設され、特に施設内の「アースガーデン」と「メドウガーデン」は英国のガーデンデザイナーズ協会賞で "世界で最も美しい庭" という評と共に最高の賞を授与されている。
我々は15時ごろに到着しクローズまであまり時間も無かったためじっくりと周ることはしなかったが、それでも是非見たいと思っていたアースガーデンとメドウガーデンの美しさは十分に堪能することができた。また、先に訪れた六花の森は「花柄包装紙に描かれた草花でいっぱいの森をつくりたい」というコンセプトとなり比較的落ち着いた印象だが、こちらはセグウェイツアーや乗馬などのアクティビティもあり、それらに参加する事でより自然に近い本来の森の姿をより濃く感じ取ることが出来るだろう。
Address
北海道清水町羽帯南10線
Location
星野リゾート トマム
北海道勇払郡占冠村
夏のトマムといえば雲海。そんなイメージが定着したのはいつ頃だろうか。1泊目の宿をトマムとしたのは40%程度の確率で発生するという雲海を見るためだ。早朝5時、雲海発生中のアナウンスを受けて野生の鹿の群れのお出迎えを受けつつ山頂へ向かうゴンドラ乗り場へ足を運ぶ。ゴンドラに乗るまで1時間程度の順番待ちがあり、その間に雲海が消えたりしないか少しソワソワしつつ、いざ到着してみるとそこには朝日に照らされた幻想的な雲海が眼下に広がっていた。ここで発生する雲海は天候により幾つかに分類され、この日は幸運にも最も雄大な「太平洋産雲海」を眺める事ができた。この雲海は太平洋の海上で発生した海霧が東方面の風に乗り、十勝平野を抜け日高山脈を超え100km以上も旅をしてやってくるのだそうだ。
実は学生時代に住み込みのアルバイトをしていたのがここトマムで、大学1年生から4年生まで夏・冬・春の長期休暇に入ると直ぐにここに来て働き、青春時代の多くの時間を過ごした場所でもある。シーズン毎に仕事内容はそれぞれ異なり、ある時はフレンチレストランでウェイターをしたり、またある時はプールサイドでソフトクリームを巻いたり猛暑の中で刈払い機で1日中草刈りしたり、果てはマイナス20度の深夜にアイスドームという巨大な氷のドームの設営をしたり。大学の卒業・就職と共にこの地とは疎遠になってしまったが、写真を始めたことも起因して近年になってしばしば訪れるようになった。余談だが、匂いの記憶というのは時間を経ても強く残っているようでホテルなどの施設に足を踏み入れるとその匂いとともに当時の記憶が鮮明に蘇ってくるのだから不思議なものだ。
幾度か経営難に陥り危機的な状況もあったであろうが、経営母体が星野リゾートに変わることでホテルやゴルフ場など施設の断捨離、雲海などの新たな魅力づけが功を奏し今現在でもこうして多くの観光客で賑わっている姿は、たかだか元アルバイトの自分であっても嬉しく思うし、1ファンとして今後何度も訪れたい場所である。
Address
北海道勇払郡 占冠村中トマム
Location
かなやま湖森林公園
北海道南富良野町
トマムから次の目的地である美瑛に向かう道すがら、ふと思い立ち最短ルートである国道38号線から横道に逸れて、かなやま湖森林公園に立ち寄り30分ほど散歩時間を設けた。全国的に見ると北海道の湖としてはさほど有名ではないかもしれないが、非常に綺麗に整備された公園で夏はキャンプ、冬は凍結した湖でワカサギ釣り等が楽しめる。ちなみにここは近隣の南富良野高校カヌー部の練習場でもあるが、こんなに素晴らしいロケーションで毎日練習出来るのはさぞ楽しいだろうなと。勿論、やっている当の本人達はキツイのだろうが。
Address
北海道空知郡南富良野町字東鹿越
Location
フェルム ラ・テール美瑛
北海道上川郡美瑛町
美瑛の小高い丘の上に立つおしゃれなレストラン兼パン屋さん、フェルム ラ・テールでは4頭のヤギのファミリーがお出迎えしてくれた。The・美瑛とも言うべきフォトジェニックなロケーションもさることながら、ここのレストランの料理は本当に美味かった。ランチはお肉をメインにしたプレートでの提供となるが、付け合せ、というのが失礼な位に野菜が美味しい。今回の旅で一番美味しい食事はどこかと言われたらここだと我が家全員の意見が一致した。週末のランチは予約が必須というのも納得だ。
我々が訪れた際には生後1ヶ月程度のララ、テテと名付けられた双子の子ヤギがいて、お母さんヤギに甘えている姿は見ていてとても癒やされた。いや、癒やされないはずがない。お母さんヤギはどっかに行ってしまわないように長めのリードで繋がれているが、子ヤギはお母さんから離れないのでリードは不要なんだそう。可愛い過ぎる。ちなみにその名が「ラテ」に由来している事を娘は直ぐに気がついたようだが、私は言われるまで全く気が付かなかった。料理を待つ間に店員さんとそんな会話をしつつ「食事の後にララとテテを是非撫でてあげてください」と嬉しそうに話して下さったのがとても印象的であった。
Address
北海道上川郡美瑛町大村村山
Location
みんなの工場 by SHIRO
北海道砂川市
「もし時間があれば立ち寄りたい所がある」と事前に妻からリクエストされていた施設だ。美瑛から車で1.5時間くらいの砂川市にあるSHIROという主にフレグランスアイテムの製造・販売を行っている企業の生産拠点で、2023年7月に本格稼働したばかりだそうだ。ここで生産された製品が全国の各店舗に出荷されていく。ガラス1枚隔てただけで実際に製造しているところが見られるというオープンな工場見学や、加えてブレンダーラボと呼ばれる自分のオリジナルの香りを実際の工場と同じ製法で作るというものづくり体験も楽しめる。
開設されたばかりという事もあるかもしれないが、平日夕方にも関わらず施設内は若い人達で大変賑わっており、妻と娘もそれぞれブレンダーラボでマイフレグランス作りに勤しんでいた。カフェやキッズスペースなどもあるので家族分かれて過ごすことも出来、実際私はその間施設内外の付近を散策して写真を撮ったり受付の方にこの工場についてのお話を伺ったりしていた。私達が道外からの北海道旅行で立ち寄った事を伝えると「わざわざこんな所まで」というニュアンスで驚いていらしたが、いえいえどうしてここは立ち寄る魅力のある新しいカタチの工場だなと。
Address
北海道砂川市豊沼町54-1
Location
北海道大学
北海道札幌市
2日目の宿を札幌で取り、あっという間に最終日。緑の旅として外せないであろう北大へ。ただ、幸か不幸かこの日の札幌の最高気温は32度と東京並み。札幌市民の憩いの場としても親しまれているが流石に暑いので人はまばらでより一層のんびりした場所になっていた。実はここは地元中の地元で子供の頃から親しみのある場所であるものの、逆に当たり前過ぎでわざわざ散歩するような場所ではなかったが、こうして改めて訪れるととても良い場所だなと再認識することが出来た。
Address
北海道札幌市北区北8条西5丁目
Location
北菓楼 札幌本館
北海道札幌市
大正時代に行啓記念北海道庁立図書館として建築され、その後美術館を経て現在では北菓楼札幌本館として運営されている。北菓楼への改築にあたり安藤忠雄氏により設計され、大きな本棚と白いアーチ型の天井が特に特徴的で目を引いた。また改築前は三岸好太郎美術館の別館として運用されていたのだが、この三岸好太郎氏の旧アトリエが東京中野にあり以前見学したことがあり、思わぬ所での接点に勝手に親近感を感じた。ここでは旅の締めくくりとして併設されているカフェでいちごパフェを頂いた。
Address
北海道札幌市中央区北1条西5丁目1-2
Location
旅を終えて
この旅の直前まで仕事でフィリピンに滞在しており、そこで著しく体調を崩してしまい本調子ではなかったので、旅をキャンセルするかギリギリまで迷っていたが、結果として体調は悪化することはなくこの素晴らしい旅行を無事に終える事ができた。昨今、日本が衰退の一途を辿っているというメディアの記事などを目にすることが多く、様々なデータがそれを裏付ており事実として受け止める必要があるとは思う。実際に今回の旅でも廃墟と化した牧場跡地や住居などを多く見かけた。一方で、だ。今年は国内外含めて旅に出る機会が多く、その度に感じるのは「日本はまだまだ全然捨てたもんじゃない」ということ。今回の旅でも訪れた様々な場所はどこもホスピタリティが高く、またその思想についても永続性、土着化、或いは再生という思いが強く感じられた。物価や賃金の面では他国と相対すると貧しくなっているのかもしれないが、だからこそ今後は「足るを知る」という価値観が強くなるのではないかと感じているし、そうありたいと思っている。
2023.08.27
写真はほぼすべて Sony α7Riii + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical にて撮影